深堀りETF⑳

高配当株ETFの分配金の希薄化を防ぐ工夫【深堀りETF⑳】

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個人投資家の皆様の間で高配当株ETFの人気が高まっています。理由の一つに分配金利回りの高さがあると思いますが、ETFの分配金は想定していた金額とずれることがあります。これは、いわゆる分配金の希薄化/濃縮化によるもので、分配金を重視する投資家の皆様にとっては特に、分配金の希薄化は好ましくありません。そこで今回は、当社の高配当株ETFで行っている分配金の希薄化を防ぐ工夫について紹介します。

<ポイント>
  • ETFでは分配金の希薄化/濃縮化が生じうる。分配金を重視する投資家の皆様にとって、特に分配金の希薄化は好ましくない
  • 当社の高配当株ETFでは分配金の希薄化を防ぐ工夫を行っている
  • 具体的には、①組入れ株式の配当がETFに計上される時点からETFの決算日までの間隔を短縮、②申込不可日による設定・交換(解約)の停止 を行っている

分配金の希薄化/濃縮化とは

分配金の希薄化/濃縮化とは、組入れ株式の配当落ちで分配原資が溜まったあと、ETFの決算日までにETFの設定・交換(解約)があった場合に、1口あたりの分配金が増減することを言います。これにより、想定していた分配金とずれたり、ETFの分配金利回りが連動対象とする指数の配当利回りと比べて低下/上昇したりしてしまいます。

これは、1口あたりの分配金を計算する際の分配原資については組入れ株式の配当落ちの時点で基本的に確定されますが、それ以降のETFの決算日までの間に設定・交換(解約)があると口数が変動するために発生するもので、特に規模(純資産残高および口数)の小さいETFでは分配金の希薄化/濃縮化は発生しやすくなります。

分配金の希薄化/濃縮化に関する詳細記事はこちら:ETFの分配金が想定とずれるのはなぜ?

ここで確認しておきたいのが、分配金の希薄化/濃縮化によって、インカムゲインとキャピタルゲインは入れ替わりますが、1口あたりの純資産(株式時価部分と分配金の合計)の価値は変わるわけではありません。つまり、分配金の希薄化/濃縮化は投資成果に実質的な影響を与えません*。

しかし、安定的な分配金を期待して高配当株ETF等に投資している場合、分配金が希薄化し、想定していた分配金を受け取れないことは、投資家の皆様にとって好ましい状況とは言えないでしょう。
*追加設定した機関投資家にとっては、分配金が収益となり課税対象となるため、厳密には影響がある場合があります。

高配当株ETFの分配金の希薄化を防ぐ工夫

当社の(1489)NF・日経高配当50 ETF(1577)NF・日本株高配当70 ETF(2529)NF・株主還元70 ETFの3本の高配当株ETFでは、分配金の希薄化を防ぐ工夫として、主に①組入れ株式の配当がETFに計上される時点からETFの決算日の間隔を短縮、②申込不可日による設定・交換(解約)の停止、を行っています。

高配当株ETFの紹介記事はこちら:配当利回りが魅力の高配当株ETF

      1. 組入れ株式の配当がETFに計上される時点からETFの決算日までの間隔を短縮
        上記3本の高配当株ETFの決算日は、毎年1月、4月、7月、10月の各7日(年4回)となっています。これらのETFが組み入れている株式の決算日は、その前月である12月、3月、6月、9月のいずれかであることがほとんどです。
        ETFの分配原資が溜まるタイミングは組入れ株式からの配当金がETFに計上されるときで、これは配当金の入金日ではなく配当落ち日になります。分配原資が溜まってから、分配金が確定する決算日までの期間を短くすれば設定・交換(解約)が行われる日数(機会)が減少するため、口数変動のリスクを抑えることができます。
        例えば、組入れ株式の決算日が3月末(配当落ち日は月末最終営業日の前営業日)でETFの決算日が4月7日であれば、その期間は1週間程度となり、この間に設定・交換(解約)が発生しなければ、分配金の希薄化/濃縮化は起きません。仮にETFの決算日を3月末から先の離れた時点にすると、それだけ設定・交換(解約)が発生しうる日数が増えるので、分配金の希薄化/濃縮化発生のリスクが高まります。

      2. 申込不可日による設定・交換(解約)の停止
        申込不可日とは、ETFの設定・交換(解約)の申込ができない日のことです。ETFの設定・交換(解約)の仕組みについては「ETFはどう作られるの?」で解説しています。設定・交換(解約)ができなければ口数は変動しないので、分配金の希薄化/濃縮化が起きることはありません。
        上記に掲げた当社の高配当株ETF3本では、申込不可日となる基本的なルールがいくつかありますが、その中の一つに「ファンドの決算日の前月最終営業日の2営業日前からファンドの決算日の前営業日まで」があります(交付目論見書「お申込みメモ」等に記載)。これはETFに分配原資が溜まってから、分配金の支払基準日となる決算日周辺までの期間を申込不可日とすることを意味しており、これによって分配金の希薄化/濃縮化を防いでいるのです。
        なお、申込不可日については、設定・交換(解約)が行えないことから、ETFの流動性が低下する傾向にあるため、①のようにETFの決算日をできるだけ各月の前半に設けて、申込不可日の日数を短くする工夫を行っています。

<分配金の希薄化/濃縮化を防ぐ工夫のイメージ図>

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(出所)野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
(1489)NF・日経高配当50 ETF
(1577)NF・日本株高配当70 ETF
(2529)NF・株主還元70 ETF

(2023年8月31日作成)

野村アセットマネジメント

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