ファイナンシャルプランナーが伝授する資産形成・資産活用としての株式投資(第25回)

ETF資産運用実践②:分配金に着目して収入源を作る【資産形成㉕】

資産運用におけるETFの実践的活用方法の第2回は、分配金に着目して収入源を作る方法をご紹介させて頂きます。預貯金の利息が雀の涙すらない現在の状況において、確定利回りとは言えないものの、4%台の利回りが期待できる収入源を作る方法です。

高配当株式の代わりになる!?「高利回りETF」

株式投資において、配当金に着目して投資をされる個人投資家の方は多いかと思います。特に、現役を引退されて年金生活を送られている方の中には、配当金を収入源の1つとして頼りにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

株式会社の生み出した利益や内部留保の一部を株主に分配する配当金ですが、その企業の業績や配当政策に応じて変動する可能性があります。株式の保有銘柄が多くない場合、安定的な収入源としては、少し心許ないかもしれません。

そこで、活用できるのが高い配当利回りの企業を対象としたETFです。例えば、NEXT FUNDSシリーズでは、次のようなETFがあります。

NEXT FUNDSシリーズの高配当ETFの例
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(2529)

NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信とは?

具体例として、「NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信」についてご説明したいと思います。

これは、「野村日本株高配当70」(対象株価指数)に連動する投資成果を目指して運用されるETFで、「野村日本株高配当70」は「国内金融商品取引所に上場する全ての普通株式のうち、今期予想配当利回りの高い、原則70銘柄で構成される等金額型の指数」となっています。

つまり、配当利回りが高いと予想される日本株式70銘柄に、同じ金額ずつ分散して投資されるETFです。

直近の分配金実績を確認してみると、過去1年間に支払われた分配金は1口あたり合計831円となっており、2020年6月29日の取引所価格(終値)17,900円で割ると、分配金利回りは4.64%(税引前)となります。

この利回りを前提に単純に計算すると、

  • 仮に100万円ほど保有していた場合は年間46,400円(月額換算で3,867円)の分配金が
  • 仮に1,000万円ほど保有していた場合は年間464,000円(月額換算で38,667円)の分配金が

受け取れることになります(すべて税引前)。

特定企業の株式を保有していた場合には、その企業の業績や配当政策によって変動する可能性がありますが、このようなETFであれば、70銘柄といった多数の株式に等金額で分散投資していますので、配当金が大きく減額される可能性も低いのではないでしょうか。

実際、このETFの1口あたりの年間分配金※を確認してみると、次のグラフのように推移しています。取引所で取引されているETFの価格は日々変動していますが、2014年以前からこのETFを1口持っていた場合、当初408円だった分配金は、2020年には2倍以上の831円に増加しているわけです。

野村日本株高配当70連動型上場投信の年間分配金※(円)の推移
期間:2014年~2020年

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※前年7月7日から4月7日の4回を足し合わせた額
例えば、2020とあるのは、2019年7月7日から2020年4月7日までの4回の分配金合計額。

セカンドライフにおける収入源の1つとして

一般的に、資産形成世代の方であれば、できるだけ分配金を支払わない商品の方が、分配金受取時の税金を考えるとより効率的に運用できることになります。

一方、セカンドライフである高齢期においては、年金収入で足りない生活費分は、基本的に手元にある金融資産を取り崩していくわけですが、分配金のない投資信託などで保有している場合、少しずつ解約(売却)していく必要があります。しかし、比較的高い利回りの分配金を支払うETFの形で保有していれば、解約する金額はできるだけおさえつつ、基本的には分配金を生活費に充てていくというスタイルが可能になるのではないでしょうか。このようなETFを利用すると、年金以外の1つの収入源として仕組み化できるのではないかと思います。

今回ご紹介したのは日本株式を対象とした、高い分配金利回りを期待できるETFですが、他にも不動産(REIT)を対象にした、分配金利回りが現時点で3%台後半になっているETFもあります。

NEXT FUNDSシリーズの不動産(REIT)を対象とした高い利回りが期待できるETFの例
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)
NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2515)

より安定的なポートフォリオを構築されたい方は、高配当の株式に加えて、不動産(REIT)にも分散して投資することを検討して頂ければと思います。

次回もお楽しみに。

(2020年6月作成)

(注)上記記事は、2020年6月に作成した記事です。
文中で紹介した野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)の2020年7月7日の分配金は0円となりました。

株式会社ウェルスペント
代表取締役

横田 健一

KENICHI YOKOTA

「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで、資産形成情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。同時に、ファイナンシャル・プランナーとして、家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行っている。
著書:新しいNISA かんたん最強のお金づくり

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