ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~

2025年の日本株の有望業種は何か?

2024年12月18日作成

銀行などの金融セクターの業績動向が良好、その他では内需系が優勢

今回は今年最後の投稿ですので、2025年の日本株の業種別相場動向を考えてみました。図表1は、横軸を「2025年度の予想経常利益の増減益率」、縦軸を「同業績予想の修正率」として、東証33業種をプロットしたものです。株価は、利益成長率やその修正率の影響を受けやすいことから、全産業(■)よりも予想経常利益の増益率が大きく、業績予想が下方修正されていない業種をオレンジ色シャドーで囲ってみました。

オレンジ色シャドーに入った業種は、銀行、保険、証券・商品先物、その他金融といった金融セクターや、建設業、小売業、不動産、食料品といった内需系セクターです。また、データセンター関連で非鉄金属も入りました。金融セクターや非鉄金属は今年(2024年)のパフォーマンスも良好であり、このまま2年続けて好パフォーマンスが続くのでしょうか?

[図表1]  東証33業種の2025年度の予想経常利益の増減益率と業績予想の修正率

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・2025年度の予想経常利益の増減益率は12月6日時点、野村證券予想
・業績予想の修正率:2025年度の予想経常利益の修正率(9月6日時点と12月6日時点の比較)、野村證券予想

(出所)野村證券のデータを基に野村アセットマネジメント作成

割安性を評価ポイントに加えると、金融セクター、非鉄金属、建設業や不動産が有望か?

図表2は、先ほどの図表1の縦軸を「2025年度の予想PER(株価収益率:株価÷1株当たり利益で算出する株価の割安性指標)」に置き換えたものです。株価の割安性を評価軸に加えてみました。小売業と食料品は全産業(■)より割高のようですが(縦軸のPERが高い)、金融セクターや建設業、不動産、非鉄金属は割安です。

繰り返しになりますが、2025年度の増益率が全産業より高く、業績予想が下方修正されておらず、2025年度ベースでの割安性も全産業よりも割安なのは、金融セクターや建設業、不動産、非鉄金属となり、データ上はこうした業種が有望と考えられます。

但し、小売業や食料品は景気の影響を受けにくいディフェンシブ・セクターであり、元々、PERが高い業種なので、割安性で劣勢になってしまうのはやむを得ないかもしれません。

[図表2] 東証33業種の2025年度の予想経常利益の増減益率と予想PER

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・2025年度の予想経常利益の増減益率は12月6日時点、野村證券予想
・2025年度の予想PERは12月6日時点、野村證券予想に基づく

(出所)野村證券のデータを基に野村アセットマネジメント作成

TOPIX-17セクターに置き換えると、銀行、金融(除く銀行)、不動産、建設・資材に注目

最後に、これまでの分析を受けてTOPIX-17セクターに置き換えてみましょう。図表3は、東証33業種とTOPIX-17業種の対応表です。これまでに絞り込んだ業種を黄色シャドーでハイライトしました。これらの業種についての野村證券などのアナリスト達による評価を確認してみましょう。

建設業は値上げの進捗と選別受注の効果が本格化するとの良い評価で、ガラス・土石も値上げの期待が高いようで、「建設・資材」は有望と考えます。非鉄金属はデータセンター需要が良好な一方、鉄鋼は業績が厳しく、「鉄鋼・非鉄」は微妙と考えます。

「銀行」、「金融(除く銀行)」については、銀行では利ざや改善などの収益性改善、保険では政策保有株式の売却に伴う資産運用収益の増加、証券では好調なマーケットの追い風を受けての収益改善など、複数の増益要因があるとのことでポジティブに見ています。

最後に「不動産」についてはオフィス賃料の引き上げが進んでおり、今後の収益にプラスに働くと考えます。

以上から、2025年のTOPIX-17の有望業種を、「建設・資材」、「銀行」、「金融(除く銀行)」、「不動産」としたいと思います。

[図表3]  東証33業種分類とTOPIX-17業種分類の対応表

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(出所)JPX(日本取引所グループ)ホームページを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 建設・資材(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1619)
NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1631)
NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1632)
NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1633)

(2024年12月18日作成)

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

1988年以降約20年間、野村アセットマネジメントにて主に日本株のアクティブ運用業務に従事。その後、グローバル・ストラテジストとして、世界の様々な市場の分析や投資アイデア提供活動を継続中。

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