ETF投資のツボ

ETFの商品性と流動性

2026年9月16日作成

ETFを売買する際の重要な要素として流動性があげられます。
ここでいう流動性とは一言でいえば、ETFの売買のしやすさを表しています。
ETFの流動性に影響を与える要因は数多くありますが、ETFの商品性そのものが影響することもあります。
ここではETFの流動性に関係する主な商品性について紹介します。

申込不可日(ブラックアウト期間)

ブラックアウト期間とは、ETFの設定や解約(交換)の申込みができない日のことです*。
*但し、ブラックアウト期間中でも取引所でのETFの売買は可能です。
そのため、この期間は、マーケットメイカー(証券会社やETFの値付業者)がETFの在庫を保有していない限り、提示する売買のスプレッドが広がるなど、流動性が低下しやすくなります。
つまり、ブラックアウト期間中は、普段よりも売買条件が悪くなることがあるため注意が必要です。
ETFによってこの期間の設定は異なり、同じような指数に連動するETFでも、運用会社によって違うことがあります。ブラックアウト期間は各社のHPでETFごとに確認することができます。
一方で、あえてブラックアウト期間を設けている場合もあります。例えば当社の高配当系ETFは、分配金の希薄化/濃縮化を防ぐため、決算日前の期間でこのブラックアウト期間を設けています(詳細は以下の記事をご覧ください)。

記事はこちら:高配当株ETFの分配金の希薄化を防ぐ工夫【深堀りETF⑳】

このように、配当を重視するETFでは、売買のしやすさと分配金の安定性のバランスが取られていることがあります。

申込締切時間(カットオフタイム)

カットオフタイムとは、ETFの設定・解約(交換)の申込みを受け付ける締切時間のことです。
マーケットメイカーはETFの在庫がない場合、新たにETFの調達を行うためにETFの設定の申込を行いますが、カットオフタイム後の時間帯では、ETFの調達ができず流動性が低下しやすくなります。
逆に、カットオフタイムが遅いほどマーケットメイカーは当日中の流動性供給に対応しやすくなります。2026年7月に当社では以下の通り、現物拠出型ETFのカットオフタイムを15:30から16:00に延長しました。

https://nextfunds.jp/data/2026/td_260519a.pdf
この手当てにより、引け近辺での対象ETFの流動性向上が期待されます。

設定・解約(交換)単位

設定・解約単位とは、ETFの設定・解約(交換)の申込みをするときの最小口数(金額)のことです。
この単位が大きいと、ETFの流動性供給を行うマーケットメイカーにとっては余分な在庫を抱える負担が大きくなり、提示するスプレッドの悪化につながる可能性があります。
一方で、この単位が小さいと、より柔軟に設定・解約(交換)がしやすくなり、流動性の改善につながりやすいといえます。
ETFは取引所での売買となるため、投資家の皆様が直接、設定・解約(交換)を行うわけではありませんが、設定・解約(交換)単位の設計がマーケットメイクのしやすさに影響し、結果として市場での売買のしやすさに影響すると考えるとわかりやすいです。
当社では、これまでいくつかのETFについてこの設定・解約(交換)単位の小口化を行ってきましたが、最近の動きとして、以下の通り2026年5月に、7本のETFを対象にこの設定・解約(交換)単位の小口化を実施することを決定しました。
https://nextfunds.jp/data/2026/td_260526a.pdf

なお、金銭拠出型ETFは現物拠出型ETFに比べて、設定・解約単位が小さい傾向があります。
これは現物拠出型は現物株のバスケットそのものが拠出される一方、金銭拠出型ではETFの運用会社に金銭が拠出され、運用会社が柔軟にポートフォリオの売買を行うことから小口化しやすいためです。
このような細かな商品特性の違いもETFの流動性に影響を与える要因となります。

設定費用および解約費用(信託財産留保額)

設定費用および解約費用(信託財産留保額)(以下、設定・解約費用)とは、ETFの設定・解約時にかかる費用のことです。
以下の記事でも詳細に説明している通り、設定・解約に伴いファンドの中で発生する取引コストを、設定・解約を行った人に負担してもらう仕組みです。

記事はこちら:ETFのコストを深掘り!設定・解約費用はなぜ必要?①【深掘りETF⑬】
      :ETFのコストを深掘り!設定・解約費用はなぜ必要?➁【深掘りETF⑭】

ETFの場合、設定・解約費用は、一般の投資家の皆様が直接負担するわけではなく設定・解約を行う指定参加者(AP)に対して徴求される費用です。よって、指定参加者やマーケットメイカーが投資家からの引き合いに対して価格を提示する際には、一般にこれらの費用が提示する価格の売買スプレッドに含まれることになります。ただし、投資家が立会内(取引所の板)で取引する場合は、必ずしも設定・解約費用が上乗せされた価格で取引するとは限りません。なお、ETFで設定・解約費用が発生するのは金銭拠出型ETFの場合です。このように設定・解約費用は、ETFの流動性にも影響を与えうる一方で、設定・解約に伴う取引コストによるパフォーマンス棄損を防ぐ役割も果たしています。

(2026年9月16日作成)

野村アセットマネジメント

ETF投資家が知っておくべきETFの仕組みや選び方、またETFの投資家動向などの最新情報について分かりやすく解説します。

執筆者紹介と他記事はこちら