ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~
今年も日本株は高配当利回り株に期待する
2025年2月5日作成
2024年も、日本の高配当利回り株指数のパフォーマンスはTOPIXを上回った
昨年の年初、「日本株は今年も高配当利回り株に注目!」というコラムを書きました。1年が経過し、その結果を振り返ってみると、2022-23年ほどではないものの、2024年も高配当利回り株のパフォーマンスはTOPIX(東証株価指数)を上回りました。
図表1は、日本の高配当利回り株の代表指数である「日経平均高配当株50指数」と「野村日本株高配当70」を、市場全体であるTOPIXのパフォーマンスと比較したグラフです(配当込みのトータルリターン)。2024年も高配当利回り株指数のパフォーマンスが優れ、TOPIXを5~6%ほど上回りました。高配当株の人気の高さが伺えます。では、2025年もこうした高配当株の強さが続くのでしょうか?
[図表1] 日本の高配当利回り株指数とTOPIXの推移
期間:2023年12月29日~2025年1月28日、日次
※配当込みのトータルリターン
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
2024年は年前半にパフォーマンスが良く、後半はまちまちだった
図表2は、前掲の2つの高配当利回り株指数の2024年の対TOPIXパフォーマンス格差の推移です(四半期ごと)。高配当利回り株指数とTOPIXとの間にはパフォーマンス格差が見られましたが、その格差は年前半に多く出ていたことが分かります。
2024年1-3月期(①)は2つの高配当利回り株指数のパフォーマンスは同じように良く、4-6月期(②)は日経平均高配当株50指数のパフォーマンスが顕著に良かったことが分かります。一方、7-9月期や10-12月期(③)については、日経平均高配当株50指数はTOPIXを下回るパフォーマンスでしたが、野村日本株高配当70は引き続きTOPIXを上回りました。
推測ではありますが、①②の時期のパフォーマンスが良かった要因のひとつに、企業の本決算発表のタイミングが関係しているのではないかと考えています。日本企業が増配などを発表するのは本決算(多くが3月)に集中する傾向があるため、①は前期(2023年度)分の増配修正が決算期末前に発表されたことが株価を押し上げ、②は新年度(2024年度)分の増配計画発表が株価を押し上げたのではないでしょうか。
[図表2] 日本の高配当利回り株指数の対TOPIXパフォーマンス格差
期間:2024年1-3月期~2024年10-12月期、四半期
※配当込みのトータルリターン・ベース
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
企業の経営改革はまだまだ初期段階
では、2025年も高配当株のパフォーマンスは期待できるのでしょうか?東京証券取引所は、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を上場企業に要請しており、昨年中も、企業の取組み状況に関するアップデートを公表しています。
図表3は2024年8月に公表された調査結果ですが、「自律的に取組みを進める企業」(企業群①)とほぼ合格点が与えられた企業はまだまだ少ないのが現状のようです。全体的な評価としては、「多くの企業で開示が始まるなど、取組みへの着手が進んでいるものの、取組みを進める企業においても投資家との目線にズレがあるなど課題が存在。また、開示に至っていない企業もおり、改革は始まったばかり」としています。そして、東証は「企業が資本コストや株価を意識して企業価値向上に取り組むことが当たり前となる市場を目指す」としています。企業の改革はまだまだ続き、業績改善や株主還元強化が続くことで、高配当利回り株の良好なパフォーマンスを今年も期待できると考えています。
[図表3] 企業の取組状況のイメージ(プライム市場)
(出所)東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する今後の施策について
(2024年8月30日)(https://www.jpx.co.jp/news/1020/20240830-01.html) より野村アセットマネジメント作成
<関連銘柄>
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(証券コード:1489)
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(証券コード:1577)
(2025年2月5日作成)