ファイナンシャルプランナーが伝授する資産形成・資産活用としての株式投資(第24回)

ETF資産運用実践①:手軽に国際分散投資【資産形成㉔】

前回(第23回「ETFを利用した実践的な資産運用:株式や投資信託との比較」)は、株式、ETF(上場投資信託)、非上場の投資信託(以下、投資信託とする)の3つの金融商品について、それぞれ特徴が異なり、運用のスタイルによって適切な商品が異なることをご説明いたしました。

今回からは、ETFに絞って、実践的な活用方法をご紹介していきます。初回は、ETFで手軽に分散投資を実践する方法についてです。

特定の業種に投資したいけど、銘柄を絞りきれない場合

日本に上場している日本株ETFには、特定の業種に属する企業全体に投資できるタイプのものがあります。特定の業種に興味があっても、どの銘柄がいいのか絞りきれない、1銘柄だけだと何かあった時に不安、といった場合に活用できるのが業種別ETFです。

例えば、IT業界が今後も成長していくだろうとお考えの場合、「情報通信・サービスその他」業界の銘柄を対象としたETF(例:NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信(1626))があります。

このETFが実際に投資している銘柄は、「情報通信・サービスその他」業界の450社(2020年5月末時点)になるのですが、構成割合の高い(時価総額の大きい順)上位10銘柄は次のようになっています。みなさんもご存知の有名な企業が多いのではないでしょうか。

(1626)情報通信・サービスその他(TOPIX-17)ETF
組入上位10銘柄(2020年5月29日時点)

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もちろん、ご自身でどの銘柄にいくらと考えながら投資することもできますが、業界全体に手軽に分散投資したいという場合には業種別ETFが便利です。

以下の頁では、業種別ETFについて詳しく紹介されているので、参考にしてみるとよいでしょう。

使い方いろいろ!業種別ETF(TOPIX-17シリーズETF)

特定の国に投資してみたいけど、どの銘柄に投資してよいかわからない場合

ETFには、海外に投資できるタイプのものもあります。

・日本より、海外の方が今後の経済成長も見込めると思うので海外に投資していきたい。
・海外企業についての情報を取得するのが難しい。どうやって選んでいいかわからない。

そのような方にオススメなのが、特定の国の企業を対象としたETFです。

例えば、ロシアの企業に投資したいという場合に活用できるのが、NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信(1324)です。組入銘柄数は、38銘柄(2020年5月末時点)となっており、天然ガスの生産・供給で世界最大の企業であるガスプロムを筆頭に、組入比率の高い上位10銘柄は次のようになっています。

(1324)ロシア株式指数・RTS連動型ETF
組入上位10銘柄(2020年5月29日時点)

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10社のうち、6社の業種が「石油・ガス・消耗燃料」となっており、ロシアという国の特色を表していると思います。

このように特定の国の企業に投資したい!という場合には、国別や市場別のETFを活用するとよいでしょう。

【NEXT FUNDSシリーズの国別ETFの例
NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信(1546)
NEXT FUNDS NASDAQ-100®連動型上場投信(1545)
NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信(1678)
NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信(1309)
NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信(1325)

特定の国というよりも、さらに幅広く国際分散投資をしたい場合

特定の国よりもさらに幅広く投資していきたい、という方には先進国や新興国といった地域の分類で投資できるETF(例:NEXT FUNDS 外国株式・MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2513))がオススメです。

これは、日本を除く先進国の株式を対象としていて、アメリカ、イギリス、フランスといった国を中心に22カ国の1,323銘柄(2020年5月末現在)に投資することができるETFです。このETFの具体的な投資先上位10銘柄は次のようになっています。

(2513)外国株式(為替ヘッジなし)ETF
組入上位10銘柄(2020年5月29日時点)

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10社中9社がアメリカ企業で、1社のみがスイスのネスレとなっています。アメリカ企業では、マイクロソフト、アップル、アマゾン、フェイスブック、グーグル(銘柄名は持株会社のアルファベット)とそうそうたる銘柄が並んでいます。

また、同じ先進国でも、株式ではなく、債券や不動産(REIT)に投資したい、という方には次のようなETFがあります。

NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2511)
NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2515)

債券を対象としたETFは先進国20ヶ国以上の約600銘柄に投資でき、不動産(REIT)を対象としたETFは先進国16ヶ国の約300銘柄に投資することができます。

一方で、先進国ではなく、新興国(中国、インド、ロシア、メキシコなど)に投資したいという方には、次のようなETFがあります。

NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2520)
NEXT FUNDS 新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2519)

個人の方が資産形成していく場合には、特定の銘柄への集中投資よりも、リスクを低減しながらより安定的に運用していくために、分散投資が重要です。

今回は、日本株の業種別、海外の単一国、そして海外の地域といった括りで投資できるETFの例をご紹介しましたが、手軽に分散投資を実践する一つの手段として、ぜひETFご活用頂ければと思います。

(ご参考)
第13回「分散投資でリスクを下げる ~すべての国のすべての企業の株主に!」

次回もお楽しみに。

(2020年6月作成)

株式会社ウェルスペント
代表取締役

横田 健一

KENICHI YOKOTA

「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで、資産形成情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。同時に、ファイナンシャル・プランナーとして、家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行っている。
著書:新しいNISA かんたん最強のお金づくり

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